■KOBBSとは?
スウェーデンの紅茶の輸入のはじまりは18世紀ごろ、東インド会社を通じて行われていました。ですが当時ほとんどの紅茶はヨーテボリの港でオランダやイギリスに向けて売られていってしまい、国内ではあまり飲まれていなかったのです。
そんななか1809年にマーティン・サミュエル・コブが創立したのが、後の世にスウェーデン最大の紅茶店となる「Kobbs」です。彼は国内で紅茶を懸命に販売し、数十年かけてスウェーデンの人々のあいだで紅茶文化を普及させていきました。
コブ家の貢献は紅茶文化だけではありません。サミュエルの息子、オーガスト・コブは買い付けの旅で多くの場所に訪れるなかで、ロンドンの公園が緑で豊かなことに驚きを受け、ヨーテボリの緑化に取り組みました。彼は市議会の一員としてヴァーサパーケン、クングスパーケン、ブランスパーケンなどの公園の設立を手掛けました。その功績からスロットスコーゲン公園のあざらし池の岩には彼の胸像が刻まれ、今でもその姿を見ることができます。
このようにKobbsは紅茶だけでなく緑豊かな生活という側面からも人々の安らぎとなる、スウェーデンの人々にとってなくてはならないブランドなのです。
■他国製品との戦い
1950年代、スウェーデンの紅茶メーカーに最大の危機が訪れます。イギリスの紅茶メーカーが当時発明されたばかりのティーバッグ紅茶のマーケティングを本格的に開始して、昔ながらのスウェーデンの紅茶メーカーは次々と廃業していきKobbsの紅茶シェアもわずか4%まで落ち込んでしまったのです。
何かしなくては。追い詰められたKobbsの答えは、危機をもたらした場所と同じイギリスにありました。Kobbsはスウェーデンの人々に、およそ60万個を超えるイギリス製のティーポットをパーフェクトな紅茶の淹れ方の説明とセットでプレゼントしたのです。
このキャンペーンはイギリスで大きく取り上げられ、ある経済紙は”狂ったスウェーデン人”と報じました。
しかし予想に反してキャンペーンは大成功。スウェーデン国内のティーバッグ紅茶のマーケットシェアは65%から35%まで落ち込みました。
そう、Kobbsの狙いは人々に手軽なティーバッグではなくあえて手間のかかるティーポットを使ってもらうことで、丁寧でゆったりとした紅茶の時間を過ごす喜びを伝えることにあったのです。そして、その考え方はスウェーデン人にぴったりだったのです。
■現在のKobbs
現代に生きる我々はネットを通じて絶え間なく他人と繋がっていますが、「Kobbsと繋がる」ことは逆にネットの世界を離れ現実に戻ることを意味します。
Kobbsの紅茶を淹れるのには――ティーバッグと違って――少しだけ時間がかかります。
今日、質の良い休息をとり肉体的にも精神的にもじゅうぶんリラックスすることはますます大切になっています。そのとき、できればあなたもKobbsの入ったティーポットをお供にしてください。
それが200年のあいだうまくいってきた、スウェーデン人の方法です。
■さあKOBBSを淹れてみましょう!
最高の紅茶を味わうためには、注意して紅茶を扱うことが必要です。紅茶に他の香りがついてしまうので、瓶に入れてもいいですが、元のパッケージのまま入れて冷暗所に保存してください。
■適量
1カップ(200ml)につき茶葉をティースプーン1.5〜2さじ(2~3g)
■温度と抽出時間
92〜96℃、4〜6分
新鮮できれいな水を使ってください。
■ティーポットで入れる場合
ティーポットを熱湯で温めます。
お湯を沸かし、沸騰したらすぐに火を止めます。(酸素が逃げないように)
茶葉を量ります−注ぐときに茶漉しを使わなくてもいいように、内蔵型の茶漉しを使ってもOKです!
(正しい温度の)お湯を茶葉に注ぎ、蓋をします。
最高の結果のためには上の注意を守って抽出してください。
■ティーカップに直接入れる場合
例えば、茶葉が半分入ったティートング(茶漉し)やティースプーンをカップに入れます。
最適な時間抽出して、ティートングやティースプーンを取り出します。
■コーヒーメーカーを使ってみる場合
コーヒーメーカーも、フィルターホルダーを取り除いてガラスポットに直接茶漉しを入れれば、紅茶の抽出に使えます。
お湯が漉し器とポットに滴り落ちます。
お湯が全て流れ落ちるまでに数分かかりますが、全て落ちたら準備完了です!
中の漉し器を取り除いて、紅茶を注ぎましょう。
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